Lost Outline



Lost Outline



身体の部位。空間の要素。

失ってしまいそうなそれらの輪郭に声をかける。

たどるべき動線を探し、プランを身体に再配置して。

身体と映像とドローイングによる作品。


Part of Body. Element of space.

I give my voice to the outline that are likely to be lost.

Find the flow line to follow and relocate the plan to my body. A work using body, video image and drawing.



振付 / 出演 / 編集 竹之内 芙美 

Choreography / Dancer / Editor Fumi TAKENOUCHI


音響効果 大西 一裕

Sound effect Kazuhiro ONISHI




はらだまほ おどり工房プロジェクト「ことばとからだの往復書簡」

Maho HARADA Odori Kobo project “ Correspodence between Words and Body “



この作品は、「ことばとからだの往復書簡」という、はらだまほ氏との交流によって生まれた作品である。まるで文通をするように、はらだまほ氏から渡される「作品譜」というテキストを、身体やアートを通して返事をするプロジェクトである。私は作品譜の指示である「 」の部分へ、自分の身体部位をそれぞれ当てはめて、身体と映像を使った返事をすることとした。



作品譜


ゆっくりと目が覚めるように「右肩」が覚める。あたりはとても静かで、生き物の気配はない。私は、確かに、ここじゃないどこかにいたはずなのだけど。暗闇の中にたった一人で立っている。


自分の前と後ろに照らされた一筋の道を「喉」でなぞる。道の果ては白い霧に包まれている。私はどっちから来て、どっちに向かえば良いのだろう。


慎重に「胃」を踏み出すと、砂のように脆い質感が「胃」に触れる。周りの空気がねっとりと張り付くので、自分の周りの空気を引き連れて進むしかない。重い。


道の果ての霧の中に意識が 1 カケラずつ吸い取られていく。道の果てに引っ張られるようにして「左手の母指球」を起点に身体が傾く。先へと進みたいけど重い空気が私をそこに引き止める。その間にも刻一刻とカケラが吸い取られていく。すとん、すとん、すとん。


目の焦点が薄れ、身体の輪郭が溶け始める。重い空気の中に溶け出してしまった方が楽だろうか。いや、溶け出すわけにはいかない。自問自答を重ねながら、いつの間にやら「胃」で一歩一歩進んでいる。


- 上記作品譜「はただまほ氏」より -



この作品は、いまも続くコロナ禍につくられたものである。コロナの状況特有の非接触、間接的なコミュニケーションも重要な要素となった。文通相手であるはらだまほ氏とのコンタクトも敢えて避け、自宅の片隅でただひとりで黙々と撮影をしたのである。コロナにおける孤独や見えない恐怖の中で、自分の身体の存在を確かめるように動きを綴った。

FUMI TAKENOUCHI

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